お薬手帳を複数持っている患者さん
患者ケース28お薬手帳を複数持っている患者さん
78歳の女性。新患。「お薬手帳はお持ちですか?」と聞いたところ「あ、これとこれとこれ、どれに書いてもらおうかしら…」といって3冊出された。患者さんは科別・病院別にお薬手帳を持っているようだ。一冊にまとめるためにはどのようにアドバイスすればいい?
お薬手帳は、一冊にまとめることで重複投与や相互作用の防止、副作用の再発防止に効果を発揮します。お薬手帳を複数持っている患者さんがいれば、なぜ複数持っているのか理解してから、使い方などを丁寧に説明して、まとめ方を一緒に考えましょう。アドバイスの際には、肯定的な表現や患者さんが興味を持ちそうな話題を取り入れると有効です。いまだにお薬手帳の正しい役割が患者さんに伝わっていないのは、薬剤師にも責任の一端があるかもしれません。正しく理解してもらうために根気よく説明をしましょう。
お薬手帳は、一冊にまとめることで重複投与や相互作用の防止、副作用の再発防止に効果を発揮します。数関。お薬手帳を複数持っている患者さんがいれば、なぜ複数持っているのか理解してから、使い方などを丁寧に説明して、まとめ方を一緒に考えましょう。アドバイスの際には、肯定的な表現や患者さんが興味を持ちそうな話題を取り入れると有効です。いまだにお薬手帳の正しい役割が患者さんに伝わっていないのは、薬剤師にも責任の一端があるかもしれません。正しく理解してもらうために根気よく説明をしましょう。
患者さんがお薬手帳を複数持つ理由を理解し、まとめるメリットを説明しましょう
お薬手帳を複数持っているのは、圧倒的に高齢の患者さんに多いように感じます。一冊にまとめてほしいという薬剤師の思いは、簡単な説明ではなかなか伝わりません。複数持ち続けている患者さんの気持ちをしっかり受けとめてから、お薬手帳の役割や便利な使い方などをわかりやすく丁寧に説明しましょう。
今回のケースでも、アドバイスの前に患者さんの胸の内を引き出す努力が欠かせません。なぜ複数の手帳を持っているのか、患者さんの言葉の裏側にある本音を聞き出すことが重要です。手帳を選ぶ様子を見たら「○○さん、お薬手帳をたくさんお持ちなんですね」と声をかけ、「よく使うのはどれですか」「一番古いのはどの手帳でしょう」「手帳に書きこみをすることはありますか」などなど、当たり障りのない質問をしながら、患者さんの理解度や複数持ちたい真意を確認していきましょう。
たとえば、医師や薬剤師に気兼ねして「よその薬局の手帳を出すのは申し訳ない」と感じている場合。「他の薬局の手帳を出されても、嫌な気持ちになることはないので安心してください」と笑顔ではっきり伝えましょう。「まとめてしまうと、せっかく作ってもらった手帳が無駄になってもったいない」と思っていれば、無駄にならないまとめ方を一緒に考えましょう。お薬手帳を忘れるたびに新しく作ってもらうという患者さんには、手帳を常に携行するための方法をいくつか提案してみるのもいいでしょう。
悩ましい例としては、湿布や鎮痛剤、眠剤などの重複投与を隠したくて、手帳を使い分けている患者さん。意図的であってもなくても、患者さんの気持ちをやさしく受けとめ共感を示してから、とことん親身になって重複投与や多剤併用について説明しましょう。
アドバイスするときは、否定的ではないプラスの表現を心がけましょう
アドバイスの際、気を付けたいのは否定的な表現です。患者さん自身が否定されたと思いこんだり、不安や不満を感じたりすると、心を閉ざして聞く耳を持たなくなる可能性があります。「手帳が複数あると併用薬が確認できません」ではなく、「一冊にまとめると、一目で服用薬がわかるのでとても便利です」といった具合に、肯定やプラスの言葉を用いて説明しましょう。高齢患者さんの場合、良くも悪くも思い込みが判断を左右しやすいため、たとえ間違った思い込みでも否定せず、まずは「〇〇と思っているんですね」と受けとめます。その後「私の考えも聞いてもらえますか」とワンクッション置いてから「実はこういう考え方もあるんですよ」と優しく伝えるのがコツです。
また、患者さんの関心ごとや生活習慣等を踏まえて、「地震は本当に怖いですよね。手帳は震災の時にとても役立ったんですよ」「旅行がお好きなんですね。旅行先にもお薬手帳を持っていけば、万一急病になったときに服用中の薬がすぐにわかるので安心です」などと切り口を変えて伝えると、興味を持って聞いてもらいやすくなります。
患者さんがお薬手帳の役割を知らないのは薬剤師の説明不足かもしれません
電子版のお薬手帳を使いこなす患者さんがいる一方で、複数の手帳を持つ患者さんもまだまだ大勢います。お薬手帳の制度が始まってからかなりの年月が経ちますが、いまだに意味や役割を正しく理解していない患者さんがいるということは、裏を返せば薬剤師の説明が十分ではないということでもあります。正しく理解してもらえるまで、根気強く説明する熱意を持ち続けてほしいと思います。