眼の感染症1
今回は、あまり触れられることのない眼の感染症について触れていきたいと思います。眼の感染症はやはり専門性が高く、重症例や難治性の場合には、眼科専門医へのコンサルトが望ましいとされていますが、まずは、比較的頻度の高い疾患を取り上げていきたいと思います。
麦粒腫
麦粒腫は眼瞼の急性膿性炎症で、俗にいう「ものもらい」です。原因菌としては、Staphylococcus aureusがほとんどといわれます。培養では、Staphylococcus epidermidisも分離されることもありますが、原因菌ではない可能性があり、Streputococcus pneumoniaeがまれに原因菌になることもあるとされています。他の感染症でも同じですが、入院歴や手術歴、抗菌薬投与歴などのMRSA危険因子がある場合、特に市中MRSAの検出率が高い地域などではMRSAを想定する必要性もあります。基本的に治療は抗菌薬の点眼薬を選択しますが、膿がたまる場合には、切開排膿を行う必要性があり、中等症以上では、経口抗菌薬による治療の追加も行われます。