慢性腎臓病(CKD)治療薬「炭酸水素ナトリウム」と「球形吸着炭」をみてみよう
前回に引き続き、慢性腎臓病(CKD)に使われる治療薬を確認します。今回は「炭酸水素ナトリウム」と「球形吸着炭」についてまとめました。
「代謝性アシドーシス」の症状を解説
腎機能低下により酸の排泄が低下すると重炭酸イオンの消費が増加して「代謝性アシドーシス」となります。
代謝性アシドーシスは腎機能をさらに悪化させたり、カリウム値にも影響を与えたりするため、炭酸水素ナトリウムを投与して補正することを考慮します。
ガイドラインにおいては、「代謝性アシドーシスを伴う保存期CKD(ステージG3〜G5)に炭酸水素ナトリウムなどで介入すると腎機能低下を抑制する可能性がある」とされています。
補正の目標は血清重炭酸イオン濃度22mmol/L以上に設定されることが多いです。
「炭酸水素ナトリウム」の効果や剤型、飲み方について
アシドーシスの改善のほか、尿のpHをアルカリ性にすることによる尿酸の排泄促進や尿路結石予防、胃酸のアルカリ化での制酸作用などを示します。
剤形は錠剤、粉末、注射があります。ガイドラインにおいて、CKD ステージ G3b から血液検査に静脈血ガス分析を加えて22 mmol/L 未満であった場合に投与開始することが提案されています。
開始用量は1.0 または1.5 g(約 12~18 mmol)/日が目安です。
「炭酸水素ナトリウム」の副作用や禁忌など投与にあたっての注意点
・浮腫(むくみ)に注意
ナトリウム貯留による浮腫に注意が必要です。そのため、ナトリウム摂取制限が求められる高ナトリウム血症や浮腫、妊娠高血圧症候群などの患者には禁忌となっています。
また、腎機能が低下している場合もナトリウムが貯留しやすくなるので、浮腫の悪化がないか注意しましょう。