いまさら聞けない「薬」のキホン

更新日: 2026年1月22日 齊藤 凌

糖尿病治療薬の週1回製剤の特徴

いまさら聞けない「薬」のキホンのメイン画像

近年、糖尿病治療薬の領域では、「週1回製剤」が大きなトレンドになっています。週1回製剤が支持されている背景には、(ⅰ)日々の投与操作が減りルーティンの負担が軽減されること、(ⅱ)日々の注射手技が難しい患者さんでも家族や訪問看護師のサポートで投与が可能になること、(ⅲ)長期間にわたり安定した血糖管理が期待でき、早朝や夜間の血糖変動を標準化しやすいことなどが挙げられます。

こうした利点から普及が進む一方で、「なぜ週1回の投与で効果が続くのか」という点が気になる方も多いと思います。その理由は、薬効が強いからではなく、製剤的な工夫が施されているためです。今回はそんな“糖尿病治療薬の週1回製剤の特徴”について見ていきましょう。

糖尿病治療薬の週1回製剤のOne Point

週1回製剤の特徴=半減期を伸ばす分子設計・製剤的工夫の違い

今回とりあげる製剤(週1回製剤)は、単に“1日分の効果がある成分を7日分まとめて投与している”わけではありません。薬を長く体内に留めるための分子設計や製剤工夫が施されており、そのアプローチは製剤ごとに異なります。

特に興味深いのは、同じセマグルチドでも、注射(オゼンピック)では週1回、経口(リベルサス)では毎日投与するという点です。これは体内へ薬剤を吸収させるための製剤技術の差によるものです。

このような製剤的特性を理解することで、服薬アドヒアランスの改善の提案だけではなく、患者さんごとの特性に応じた「最適な製剤選択の提案」につなげることができます。

週1回製剤の製剤的違い

①“貯めておく”ことでゆっくり効く仕組み(アルブミン結合)

オゼンピック皮下注やマンジャロ皮下注は、有効成分に長鎖脂肪酸の側鎖が付与されており、アルブミンと結合しやすくなることで半減期が延長します1,2)。同様にアウィクリ注も、ほとんどが血中のアルブミンに結合することで、活性を示さない状態(貯蔵体:デポー)となり、その後徐々に解離して血糖降下作用が持続する仕組みです3)

②“大きくして”ゆっくり効く仕組み(巨大分子)

トルリシティ皮下注は、GLP-1アナログがヒトのIgG4のFc領域と融合することで巨大分子となります。そのため、血中濃度が安定化し、皮下からの吸収がゆっくりになり、腎臓からの排泄も遅延します。またアミノ酸で置換することで、DPP-4に分解されにくい構造になります4)

すべてのコラムを読むにはm3.com に会員登録(無料)が必要です

齊藤 凌の画像

齊藤 凌
さいとう りょう

管理薬剤師/茨城県糖尿病療養指導士/スポーツファーマシスト
2016年に薬科大学を卒業後、漢方相談・ハーブ園のあるフローラ薬局で薬局薬剤師として勤務。「地域に健康の花を咲かせる」をモットーに日々、勉強中。

キーワード一覧

いまさら聞けない「薬」のキホン

この記事の関連記事

この記事に関連するクイズ

アクセス数ランキング

新着一覧

28万人以上の薬剤師が登録する日本最大級の医療従事者専用サイト。会員登録は【無料】です。

薬剤師がm3.comに登録するメリットの画像

m3.com会員としてログインする

m3.comすべてのサービス・機能をご利用いただくには、m3.com会員登録が必要です。

注目のキーワード

医薬品情報・DI 薬物療法・作用機序 門前薬局 服薬指導 マンガ オンライン服薬指導 薬剤師インタビュー 医療クイズ 失敗列伝 転職