糖尿病治療薬の週1回製剤の特徴
近年、糖尿病治療薬の領域では、「週1回製剤」が大きなトレンドになっています。週1回製剤が支持されている背景には、(ⅰ)日々の投与操作が減りルーティンの負担が軽減されること、(ⅱ)日々の注射手技が難しい患者さんでも家族や訪問看護師のサポートで投与が可能になること、(ⅲ)長期間にわたり安定した血糖管理が期待でき、早朝や夜間の血糖変動を標準化しやすいことなどが挙げられます。
こうした利点から普及が進む一方で、「なぜ週1回の投与で効果が続くのか」という点が気になる方も多いと思います。その理由は、薬効が強いからではなく、製剤的な工夫が施されているためです。今回はそんな“糖尿病治療薬の週1回製剤の特徴”について見ていきましょう。
★糖尿病治療薬の週1回製剤のOne Point
週1回製剤の特徴=半減期を伸ばす分子設計・製剤的工夫の違い
今回とりあげる製剤(週1回製剤)は、単に“1日分の効果がある成分を7日分まとめて投与している”わけではありません。薬を長く体内に留めるための分子設計や製剤工夫が施されており、そのアプローチは製剤ごとに異なります。
特に興味深いのは、同じセマグルチドでも、注射(オゼンピック)では週1回、経口(リベルサス)では毎日投与するという点です。これは体内へ薬剤を吸収させるための製剤技術の差によるものです。
このような製剤的特性を理解することで、服薬アドヒアランスの改善の提案だけではなく、患者さんごとの特性に応じた「最適な製剤選択の提案」につなげることができます。
週1回製剤の製剤的違い
①“貯めておく”ことでゆっくり効く仕組み(アルブミン結合)
オゼンピック皮下注やマンジャロ皮下注は、有効成分に長鎖脂肪酸の側鎖が付与されており、アルブミンと結合しやすくなることで半減期が延長します1,2)。同様にアウィクリ注も、ほとんどが血中のアルブミンに結合することで、活性を示さない状態(貯蔵体:デポー)となり、その後徐々に解離して血糖降下作用が持続する仕組みです3)。
②“大きくして”ゆっくり効く仕組み(巨大分子)
トルリシティ皮下注は、GLP-1アナログがヒトのIgG4のFc領域と融合することで巨大分子となります。そのため、血中濃度が安定化し、皮下からの吸収がゆっくりになり、腎臓からの排泄も遅延します。またアミノ酸で置換することで、DPP-4に分解されにくい構造になります4)。