原発性アルドステロン症の診断・管理:MRAの使い分け、血圧制御困難例
寄せられた質問に専門医が回答する人気動画「方波見卓行のお悩み相談 by Docpedia」を、記事でも読めるようにしました。
今回のテーマは「原発性アルドステロン症(PA)の診断・管理におけるMRAの使い分けと血圧制御困難例への対処」についてです。専門的な知見をもとに解説します。
回答する医師 方波見卓行
聖マリアンナ医科大学 代謝・内分泌内科 教授
聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 代謝・内分泌内科部長
日本内科学会 専門医・指導医
日本糖尿病学会 専門医・指導医
日本内分泌学会 専門医・指導医
日本人類遺伝学会 臨床遺伝専門医
日本医師会 認定産業医
日本内分泌学会; 評議員、
関東甲信越支部会幹事 、
日本内分泌病理学会 理事長・評議員
日本ステロイドホルモン学会 理事・評議員
日本糖尿病学会・日本心血管内分泌代謝学会 評議員
Q1. セララで降圧不十分ならミネブロに?
1つ目の質問は、以下の通りです。
原発性アルドステロン症(PA)で手術せず投与治療中の症例において、セララ(エプレレノン)で降圧不十分の場合はミネブロ(エサキセレノン)に変えてみた方がいいのでしょうか?
セララ=第二世代MRA、ミネブロ=第三世代MRAという位置付けなら、世代が上の方が効果も強いと判断して良いでしょうか?ステロイド骨格の有無で効能に変化はあるのでしょうか?
Q1への回答
日本のPAガイドラインでは、降圧薬の選択については次のように示されています。
- 降圧効果、高血圧性臓器障害の改善、副作用・忍容性、薬価、性別、添付文書上の禁忌を考慮して薬剤を選択する。(1A)
- MRA間の治療効果の差を示す明確なエビデンスはない。承認されている投与量と使用上の注意(禁忌、慎重投与など)が、治療薬選択に影響する可能性がある。(B)
つまり、「世代が上だから効果が強い」と断定できる十分な根拠は現時点ではありません。
薬剤の選択は、承認されている用量や使用上の注意などを総合的に考慮して行うことが推奨されています。
参照:原発性アルドステロン症診療ガイドライン2021 /日本内分泌学会
MRAの使い分け
各MRAの主な特徴は以下の通りです。
これらの違いを踏まえて、症例ごとに使い分けを検討するとよいでしょう。
| スピロノラクトン | エプレレノン | エサキセレノン | |
| 一日投与量(mg) | 50-100 | 50-100 | 1.25-5 |
| K製剤併用禁忌 | ー | + | ー |
| 禁忌(腎機能、血中K) | 急性腎不全、無尿 高K血症 |
CCr<30(蛋白尿あるDKDでは<50) 高K血症 |
eGFR<30 高K血症 |
| 性腺系副作用 | + | ほぼー | ー |
(各薬剤の添付文書より一部改変)
スピロノラクトンは、腎機能低下時の投与制限が他剤より少なく、経験的には降圧効果も最大と考えられます。
一方でMR選択性は低く、男性では女性化乳房や乳房痛の発現が比較的多くみられます(女性では過多月経の報告あり)。
Q1の「セララ(エプレレノン)で降圧不十分な場合、ミネブロ(エサキセレノン)へ変更すべきか」についてですが、明確なエビデンスはありません。
ただし、エサキセレノンの降圧効果はエプレレノンを上回る可能性も示唆されているため、変更も一つの選択肢としておすすめできます。
Q2. PAで血圧コントロール不良時の対応は?
2つ目の質問は以下の通りです。
PAで血圧コントロール不良の場合はどう対応すれば良いでしょうか?
Q2への回答
PAガイドラインには次のように記載されています。