便秘のタイプや症状に応じた漢方薬の基本は?
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便秘に対する漢方薬のアプローチ
腹部の張りや痛み、残便感といった自覚症状はあるものの、医療機関には相談しづらく自己判断でOTC薬を使用し、満足のいく治療にたどりつきにくい便秘。そのため東洋医学的なアプローチとして漢方薬の活用も期待されています。
今回は、便秘に対してどのような漢方薬を活用することができるのか、便秘のタイプや症状に応じた漢方薬の選択、大黄を中心とした漢方薬に含まれる生薬に関する注意点などについて、北里大学東洋医学総合研究所の緒方千秋氏に解説していただきました。
慢性便秘症は患者さんの感じ方や主訴はさまざまで、便秘症状の種類、患者さんの体力やその他の症状によって選択される漢方薬もことなります。
便秘に対する処方の選択肢として大黄甘草湯を成分に含む「調胃承気湯、桃核承気湯、潤腸湯、防風通聖散」があります。大黄には即効性があり、下痢や軟便の方では症状の悪化、著しく胃腸の虚弱な方では食欲不振、腹痛、下痢が現れやすいのが特徴です。また子宮の収縮を促進するため流産を引き起こす危険性があります。
調胃承気湯、桃核承気湯の漢方名にある「承気」には、“気を巡らす”という意味があり、腹部膨満感などを改善するとされています。ただし承気湯類は、大黄と甘草の組み合わせに無水芒硝を加え瀉下作用を強めたものであり塩類下剤のため、食塩制限がある方への使用は注意が必要です。
潤腸湯、防風通聖散、大黄と甘草の組み合わせを含まない漢方薬の注意点や活用方法については、本記事よりご確認ください。
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