SOAPの論理構成を意識した薬歴の書き方
SOAPは長年書いているので、大体できていると思うのですが、これで大丈夫でしょうか?
(患者)
30代女性。階段から落ちたため受診。骨折はなかったそう。とても痛そう。
〈処方〉
アスパラCA200mg 2錠 朝夕食後
αカルシドール錠0.25 2錠 朝夕食後 7日分
ゼスタッククリーム 一日3回足に

薬歴Before
| S) | 昨日階段から落ちました。レントゲンを撮ったら骨は大丈夫と言われましたが、とにかく色々痛いです。痛み止めを出してくれませんでした。 |
| O) | 左足首サポーターで来局。患部腫れはなし。いすからの立ち上がりは少し時間がかかる。歩行はゆっくりだが左右差はさほどみられない。 |
| A) | 骨折はないがカルシウム処方、サポーターされているので、レントゲンにうつらなかった小さなヒビなどを心配されていると推測。痛みは打撲痛がひどい様子。 |
| P) | 内服は骨を丈夫にする必要があり処方。中止指示が出るまで継続を。打撲痛、おつらいと思いますが受傷から三日後ぐらいまで悪化してから自然とひくこと。痛み止めや湿布は、体温を下げる作用のある成分が入っているため血流が低下し治癒を長引かせるので処方されないことが多い旨説明。ゼスタックをしっかりすり込んで様子をみてください。医師指示は3回であるが、痛みが辛いようなら一日数回ゼスタック使用できるので、回数5〜6回使うようにお伝えした。 |
| Pnext) | 次回痛みの状況、外用薬の効果実感や副作用確認 |

「痛みは打撲痛がひどい様子」はアセスメントではない
全体的には、きれいにSOAPができているように見えます。長年こういうSOAPを書いて来たのだろうなということが伺われます。しかしよく見ると、SOAPそのものの理解が少し弱いのかなという感じがします。
まず、いつものように、アセスメントから見ていきましょう。Aの最後に記載されている「痛みは打撲痛がひどい様子」はアセスメントではありませんね。これは患者さんを診て薬剤師としてそのように見て取ったのであれば「所見」ということになりますので、O情報となります。ただし、取り上げたプロブレムに必要な情報ならば、ということになります。
そして他のAの記載は、「骨折はないがカルシウム処方、サポーターされているので、レントゲンにうつらなかった小さなヒビなどを心配されていると推測」とあります。このように薬剤師がアセスメントしたということならば、その根拠になる情報がOに記載されていなければなりませんが、Oには、「左足首サポーターで来局。患部腫れはなし。いすからの立ち上がりは少し時間がかかる。歩行はゆっくりだが左右差はさほどみられない」とあり、このOからなぜ「レントゲンにうつらなかった小さなヒビなどを心配されていると推測」が分かるのか不明です。もし、普段からこの処方医がそのような判断で診断および処方をしているのならば良いのですが、薬剤師が勝手に言っているのならば、少し逸脱しているのかもしれません。少なくとも、SOAPの中での論理構成ができていません。
SOAPというのは、『そのプロブレムが、薬剤師の医療として取り扱うべきプロブレムである』ことを論理的に考えるための思考ガイドです。SOAPの中で論理がきちんと成り立っていなければ、良いSOAPとは言えません。
もし、「レントゲンにうつらなかった小さなヒビなどを心配されている」と推察できるような話が患者さんからあったのなら、それを絶対に書かなければなりません。
結局何となくはSOAPになっているのだが、細かく見ていくと、厳密なSOAPの構成の理解が乏しいように見受けられます。今一度しっかりと勉強なされることをお勧めいたします。