オンライン診療の特例措置、どう思う?
調剤室で生まれた「ベン」「ゼン」「カン」の三兄弟。薬剤師がイキイキと働けるようにお手伝いをしたい!と奮闘するベンゼン三兄弟が、薬剤師に聞いた実態調査をレポートします。
厚生労働省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会」で、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大を受けた電話・オンライン診療の特例措置について当面の間延長することが決まりました。電話・オンライン診療について先生方のお考えをお聞きします。
今回の特例措置において禁止されている「初診における麻薬および向精神薬の処方」「基礎疾患の情報が把握できない場合の8日以上の処方」「ハイリスク薬の処方」については65%の薬剤師が適切との回答を寄せました。また、「新型コロナウイルス感染収束後も、現在特例として認められている事項について解禁し、オンライン診療を恒常化するべきだと思いますか?」とお聞きしたところ、50%の薬剤師が恒常化するべきと回答しましたが、32%の薬剤師は恒常化するべきではないと回答しました。
Q:特例措置において「初診における麻薬および向精神薬の処方」「基礎疾患の情報が把握できない場合の8日以上の処方」「ハイリスク薬の処方」が禁止されていますが、この禁止事項について適切だと思いますか。
ベン:
今回の特例措置の禁止事項について65%の薬剤師が適切だと回答したよ。
Q:新型コロナウイルス感染収束後も、現在特例として認められている事項について解禁し、恒常化すべきだと思いますか。
ゼン:
オンライン診療がこのまま普及するかどうかについては意見が割れたぜ。次は、先生方のオンライン診療への意見を紹介するぜ!
Q:電話・オンライン診療について、お考えをお寄せください。
オンライン推進派
- これからオンラインは積極的にすすめていくべき。そのための法制化は必要だ。
- 遅かれ早かれ時代はそうなるし、ITが進化しているならばそうなるべき。医療資源は有限なのだからいつまでも過去にとらわれず、最先端の技術を受け入れ、利用していくことが重要。
- 設備面や様々な課題に対しての対応法等が整っていない、追いついていない現状はあるが、押し進めていくべきであると思う。
初診までオンラインは反対
- 初診まで認めてしまうこの特例措置自体に反対。解禁してしまうと安易にオンライン診療を受ける患者、応需する医師が増え医療費の圧迫につながると思う。
- 各医療機関のオンライン体制の格差が大きく全国一律の対応には大きな矛盾が発生しそう。
高齢患者へのサポートは必要
- 新型コロナウイルス対策だけでなく、遠隔地での高齢者診療対応においても有用と考える。高齢者においてはPCやスマホの取り扱いが十分でないため、何らかの支援補助対策が必要。
- 高齢者が多い地域では有益な手段だと考えています。訪問看護・訪問診療・オンライン診療が連携を取りながら、介護者にもやさしい医療体制が整うとよいかと思います。
- 受診を面倒がる高齢者が、ドクターの管理を外れたところで服薬をすることを憂慮する。
疑義照会の不安
- 医師が直接診察し、診断することを止めたら気付くものも気づかなくなるのが怖い。薬剤師の気付きも疑義してどこまで反映してもらえるか疑問である。
限定的には必要な措置
- 基礎疾患の情報が把握できない場合はオンライン診療はすべきでないと思います。やり方を考える必要があるが、一定範囲内でのオンライン診療は必要だと思う。とくに、在宅患者にとっては、往診はして貰えない通院は出来ないので、電話診療・オンライン診療の必要性を強く感じる。
- 目も合わせずに一言二言会話して終了…という診療に関してはオンラインで充分ではと思います。電話だけだとどうしても判断できないことはあるので、大きめの画面で対面のように接することができる形式の方が良いとは思います。
- 現在は、必要とも思えない方が0410対応で受診しているものも認められる。精神科領域では、薬の郵送にも不安がある。また電話での聞き取りにも、きちんと答えてくれない場合もあり副作用状況の確認など不安がある。処方医師からの処方箋本体の送付が遅い場合もある。解決されればある程度のオンライン診療は、良い方法だと思う。
ベン:
オンライン診療は、「どこまで」をオンライン上で認めるべきか、まだわからないよね。
ゼン:
COVID-19の感染収束もまだ見えないもんな~。医師も意見が分かれているみたいだぜ。
カン:
恒常化の是非については、まだ議論する必要がありそうね。