腎機能低下時に減量する薬とは。タリージェ®は?ザイザル®は?
腎臓は薬物動態において重要な役割を担う臓器です。一般的に腎機能が低下すると、腎排泄型薬剤の血中濃度が上昇して副作用が出やすくなります。2024年時点での推計では日本の慢性腎臓病(CKD)の患者数は約2,000万人(成人の5人に1人)とされています。
こうした状況で、外来処方箋に検査値を併記する病院が増えてきており、処方鑑査時に腎機能に対する薬剤量が適切かどうか判断するスキルは薬局薬剤師にも求められています。
腎機能低下時に禁忌・減量となる薬剤は非常に幅広く、すべてを網羅することは多大な努力を要します。腎機能低下時に減量が必要な薬剤のうち、特に調剤薬局で疑義照会の頻度が高いと思われる薬剤について前回解説しました。今回はその後編です。
神経障害性疼痛治療薬:腎機能低下時に減量が必要な薬剤③
神経障害性疼痛治療薬は、2010年に「プレガバリン(リリカ®)」、2019年には「タリージェ®(ミロガバリン)」が市場に出回りました。
帯状疱疹後神経疼痛や脊柱管狭窄症などの多くの患者に処方されています。両薬剤ともに腎排泄型薬剤ですので腎機能低下に応じた減量基準が添付文書に記載されています(表1参照)。1)2)
表1)神経障害性疼痛に対する「プレガバリン(リリカ®)」「タリージェ®(ミロガバリン)」の参考用量
| CCr (mL/min) |
≧60 | ≧30-<60 | ≧15-<30 | <15 | 血液透析後の 補充用量 |
| プレガバリン (リリカ®) |
初回:1回 75mg 1日2回 維持量:1回 150-300mg 1日2回 |
初回:1回 25mg 1日3回 又は1回75mg 1日1回 維持量:1回 50-100mg 1日3回 又は1回 75-150mg 1日2回 |
初回:1回 25mg 1日1-2回 又は1回 25-50mg 1日1回 維持量:1回 75mg 1日1-2回 又は1回 75-150mg 1日1回 |
初回:1回 25mg 1日1回 維持量:1回 25-75mg 1日1回 |
初回:25-50mg 維持量:50-150mg |
| ミロガバリン (タリージェ®) |
初回:1回 5mg 1日2回 維持量:1回 10-15mg 1日2回 |
初回:1回 2.5mg 1日2回 維持量:1回 5-7.5mg 1日2回 |
初回:1回2.5mg1日1回 維持量:1回5-7.5mg1日1回 |
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各薬剤の添付文書を基に筆者が作成
過量投与となった場合に懸念される副作用は、主に眠気やめまいなどの精神神経症状で、腎機能障害の程度に応じた減量が推奨されています。どの場合も初回は低用量から開始し、忍容性を確認しながら、効果不十分であれば維持量まで増量します。
プレガバリン(リリカ®)は透析で除去されやすく血中濃度が下がってしまうため、透析後の補充投与量についても記載されています。
一方、ミロガバリン(タリージェ®)は透析で除去されにくいため、透析後の補充用量は設定されていません。
帯状疱疹後神経痛や脊柱管狭窄症は特に高齢者に多い疾患です。高齢者は腎機能が低下している方も多いため、投薬前には過量投与になっていないか確認が必要です。