チーム医療を担う薬剤師の役割とは?課題や事例をまとめた記事一覧

更新日: 2020年6月19日 近畿国立病院生涯教育センター

「チーム医療の実践に関する知識を修得することで、臨床薬剤師の資質向上を目指す」として、2019年度に実施された近畿国立病院生涯教育センター の講座を一部改変した、事例検討の連載コラムです

オプジーボ投与患者の副作用の早期発見の為、確認すべき項目とはの画像

シリーズ7
がん疾患について考える

オプジーボ投与患者の副作用の早期発見の為、確認すべき項目とは

患者さんの症例と追加情報を読んで、がん疾患への理解を深めましょう。また、患者さんを想像しながらQuestionについて考えてみましょう。

患者情報

症例

66歳 男性
身長:166.4 ㎝  体重:102.3 ㎏ 体表面積:2.09 ㎡ 
治療病名:糖尿病、高血圧、高脂血症(肥満)
肺がん(右上背部痛が出現し受診、CTガイド下肺針で扁平上皮がんと診断。
病期:(cT3N0(r/oN2)M0) CDDP/TS-1  6コース。放射線治療併用。
その後、小脳転移にγナイフ。腫瘤増大認めDOC 6コース施行。
更にnab PAC 6コース施行(d1,8,15)。GEM 2コース施行。CTで陰影拡大認めたため、オプジーボ1コース目施行目的入院。
甲状腺機能低下傾向あるが内分泌Drにコンサルトし外来で経過観察の範囲と。)
既往歴:60才糖尿病、10才虫垂炎  家族歴: 父:大腸癌   職業:事務、管理
嗜好品: アルコールなし、 喫煙 40*20-67(Cr) = 1880


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追加患者情報

4/27~20XX(+1)/1/26 オブジーボ 2~19コース施行。当初、pseudo progressionみられたが、4コース後に縮小得られた。
6/8より、甲状腺ホルモン補充開始。
追加Rp)チラージンS 25μg 朝食後 開始
20XX(+1)/1/6ころから食欲低下。歩行時のふらつきの訴えあり。脳病変はサイズ不変も周囲の浮腫の増強あり。
2/10、食欲不振でオプジーボ中止。
2/16、食事とれなくなり入院。オプジーボの免疫関連副作用の副腎不全を考え、内分泌Drにコンサルト。


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オプジーボ投与患者はシリーズ6のように様々な副作用が発現する可能性があり、その早期発見のため、必要となる採血項目も一般の抗がん剤と異なる部分があります。今回20XX(+1)/4/11~20XX(+1)/4/27の期間の採血項目は必要項目を満たしているでしょうか?

答え 表示

オプジーボ投与患者の採血は、開始前に確認しておくべき項目と、投与ごとに定期的に確認すべき項目があり、適正使用ガイドを参考にまとめると以下の表のようになる。
今回の症例では赤字部分の採血がなかったため医師への提案が必要になると考えられる。

有害事象 検査項目 開始前 定期的
有害事象一般 一般採血
間質性肺炎 KL-6(月1回)
SP-D
SpO2
胸部聴診
胸部CT(腫瘍評価の時)
胸部X線
甲状腺機能障害(月1回) TSH
FT4
I型糖尿病 HbA1c(月1回)
尿糖
尿ケトン体
大腸炎 ESR
肝機能障害・肝炎 HBs抗原・抗体 HBc抗体
HCV抗体
心筋炎 胸部X線
心電図
腎障害 尿一般

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