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企業薬剤師の転職・年収コラム

更新日: 2025年4月16日 薬剤師コラム編集部

【企業薬剤師】品質管理の仕事内容やメリット、年収や転職方法を解説

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一般企業で働き、薬剤師免許を 生かせる仕事のなかに「品質管理」があるのをご存知でしょうか。

しかし、「品質管理」という職種を初めて聞いた、どんな仕事をするのかわからない という方も多いでしょう。

ここでは、 品質管理の仕事の内容やメリット・デメリット、転職する際の注意点などについて解説します。

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品質管理で薬剤師が行う仕事内容

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製薬会社などで働く品質管理とは、生産の過程で医薬品の品質が一定の基準を満たしているかを管理する仕事のことです。
品質管理の仕事内容を詳しくみていきましょう。

品質管理の仕事内容

医薬品に関しては、完成した製品だけでなく、その製造過程においても常に安全性が保たれていることが要求されます。

医薬品の製造は、GMP(Good Manufacturing Practice)という法的基準に沿って行われます。GMPとは医薬品の製造における品質基準を規定する法律で、日本語では「医薬品の製造管理及び品質管理の基準」となります。

GMPの規定に従って医薬品の製造が行われているか、製造された医薬品にエラーがないかを検査するのが品質管理の仕事です。

人の命に関わる医薬品は、製造のステップごとに品質に不備がないかチェックする必要があります。

そのため、原料の入荷、製造、最終製品の出荷の各段階で、HPLC(高速液体クロマトグラフ)などの分析機器を用いて検査が行われます。

具体的には以下のような仕事となります。

1 原材料の検査・試験 製薬に使用される原材料が規定の品質基準を満たしているかどうかを検査・試験します。

2 中間製品の検査 製品が製造プロセスの途中段階で適切な品質を保持しているかを確認するための検査を行います。

3 最終製品の検査 市場に出荷される前に、製品がすべての品質基準を満たしていることを確認するための最終検査を行います。

4 文書の管理 これらの検査・試験結果を記録し、品質管理プロセスに関連する文書の作成・管理を行います。

このように、大学での機器を使った分析やデータ解析の経験が活かせる仕事です。
また、不備が発見された場合には、他部署と連携しながら、原因を究明し、改善策を講じるなどの対応をすることになります。

品質管理と品質保証の違いとは

「品質管理」と似た仕事に「品質保証」があります。この2つは製品の品質を担保するという面では共通していますが、アプローチのしかたや目的に違いがあります。

品質管理は、実際の製造現場で、製品が規定の基準を満たしているかどうかを確認するために行われ、製品の検査や試験、その結果の分析が主な業務です。

一方、品質保証は、医薬品の開発から販売後のアフターフォローまでトータルに関わります。医薬品の品質が出荷後も維持されるようにシステム全体を監督することが主な仕事です。

品質保証の仕事は、医薬品製造の準備段階の原材料の選定や機械の設計、製造から始まります。そして、製造に関する品質基準を設定し、実際に製造に入るとスケジュール管理、作業工程のチェックなどを行います。出荷後にトラブルが起こったときには対応します。

このように、品質管理と品質保証には仕事内容に違いがありますが、どちらも薬剤師の専門性が活かせる仕事だといえます。

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薬剤師が品質管理で働くメリット

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調剤がメインとなる一般的な薬剤師とは大きく違う業務を行うのが品質管理です。
では、薬剤師が品質管理の仕事をすることにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

薬剤師資格があると、上位管理者が目指せる

品質管理の仕事のなかでも、実際の検査などは薬剤師資格がなくても担当することができます。

しかし、医薬品製造管理者や総括製造販売責任者など、組織をまとめるポジションに就くためには薬剤師免許が必要です。

薬剤師資格があると、品質管理部門内でのキャリアパスが広がります。上位管理者や専門職としてのポジションを目指すことが可能です。

製薬開発の一助を担える

製薬会社での医薬品の開発には多くの部署やスタッフが関わります。
そのなかでも、品質管理は、製品の安全性と効果を担保するために重要な過程です。

製薬会社の中では研究職や開発職に注目が集まりがちですが、品質管理も薬剤師としての専門スキルを活かしながら製薬開発をサポートする重要なポジションです。

特に検査や試験、データ分析や解析作業が得意な人にとっては、手応えが感じられる仕事だといえます。

社会的意義がある

品質管理は、患者さんに安全で高品質な製品を提供する、社会的意義のある仕事です。
自分が薬剤師として学んできたスキルを活かしながら多くの人の健康に貢献できる、非常にやりがいのある職務です。

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薬剤師が品質管理で働くデメリット

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一方で、品質管理の仕事には、他の職種にはないデメリットもあります。具体的に確認してみましょう。

患者と対面する機会がない

薬剤師は、困っている患者さんの健康に貢献できる素晴らしい仕事で、調剤薬局や病院に勤務していると、患者さんから直接「ありがとう」の言葉をもらうこともあります。

しかし、品質管理の仕事は患者さんと直接関わる機会がほとんどありません。患者のケアに直接関与することに魅力を感じる薬剤師にとっては、もの足りなさを感じることもあるかもしれません。

他部署との調整が多い

患者さんに対する接客的な面が苦手で、コツコツ検査や分析の仕事がしたいと考えて品質管理を希望する薬剤師もいます。しかし、品質検査で異常が見つかった場合、製造部門や開発部門など他の部署にフィードバックを行い、連携して対応することが必要です。

品質管理は多くの患者さんと接することはありませんが、社内で部署間のコミュニケーションは発生します。他部署との調整業務を行うコミュニケーション能力が求められます。

外勤や出張がある

働いている企業にもよりますが、品質管理の仕事には、工場や製造施設での業務や監査対応を行うための外勤や出張が含まる場合もあります。

企業によっては海外支社があったり、海外との取引先対応があったりして、海外出張に行くことになるかもしれません。海外で働くことに興味がある薬剤師にとっては、魅力のある職種だといえます。

検査やデータ解析だけでなく、外部との関わりも多い職種であることは理解しておきましょう。

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品質管理で働く薬剤師の年収

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品質管理で働く薬剤師の年収は、勤務している企業の規模や、薬剤師自身の経験や役職などによって異なります。
一般的な品質管理薬剤師の場合、年収は400万〜500万円程度が平均です。
一方で、昇進してマネージャー職になると、年収600万円以上も可能です。

品質管理に未経験で転職する場合、求人の相場は350万円程度からになります。
経験者として転職する場合は、年収500万円スタートという求人も見られます。

薬剤師は基本的に高年収なので、品質管理の薬剤師の年収も製薬会社なので特に高いということはなく、薬剤師の平均的な金額といえます。

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品質管理を行う薬剤師の働き方

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一般企業勤務となる品質管理ですが、正社員以外の働き方も可能です。
それぞれの働き方の特徴についてみていきましょう。

正社員

製品製造の現場で大きな責任を担う品質管理の仕事では、正社員としての雇用が中心です。
一般企業なので給与体系や昇進システムも明確で、安心して働くことができます。
産休や育休もきちんと整備されており、福利厚生が整っているのも大きなメリットです。

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派遣社員・パート・アルバイト

派遣社員やパート、アルバイトを品質管理の仕事に雇用している企業もあります。

このような職場では、マネジメントを行う正社員の薬剤師の下で、派遣社員やパート・アルバイトが製品の検査やデータ分析を行うという業務分担となります。

パートの時給は、調剤薬局や病院などと同じ水準の2000円程度が相場です。

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品質管理に向いている薬剤師の特徴3つ

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ここまでみてきたように、品質管理の仕事には調剤薬局や病院勤務とは違う特徴があります。
このような品質管理に向いている薬剤師の特徴として、以下のような3つの点があげられます。

1.細部に注意を払うことができる

医薬品の検査では、小さなミスやちょっとした異常の見逃しが大きな問題につながります。
単調なルーティンワークのなかでも、緊張感を保ち、細部に注意を払うことが必要です。

2.分析能力が高い

品質管理の仕事で重要なのは、検査データを正しく分析することです。大学時代に研究や検査が好きだった分析能力が高い人は、品質管理に向いているといえます。

3.コミュニケーション能力がある

データと向き合っている印象の強い品質管理ですが、先ほど触れたように、他部署との連携も大きなウエイトを占める仕事です。外部の会社との交渉が必要となることもあります。

調剤薬局で必要とされるような接客スキルとは違いますが、協業で必要となるコミュニケーション能力は磨いていきましょう。

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薬剤師が品質管理に転職するには

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落ち着いて一般企業で働きたいと考えて、品質管理の仕事に転職したいと考えている人もいるかもしれません。
薬剤師が品質管理に転職する際には、どのようなことに注意すればいいのでしょうか。

製薬会社以外の企業からの募集もある

薬剤師の品質管理職は、製薬会社だけでなく、医薬品を扱う他の企業からの募集もあります。動物向けの医薬品を扱う会社や、化粧品会社、食品業界など、幅広い業界から募集が出ています。

製薬会社以外の企業であっても、薬品を扱う企業では管理薬剤師が必要となっています。品質管理も含めた管理薬剤師全般の業務が任される求人も見られます。
転職先を探す際には、視野を広くもって活動することをおすすめします。

未経験でも転職は可能

品質管理の仕事は、未経験でも転職が可能です。「未経験者歓迎」という求人もあるので、不安な場合はそのような求人に応募するとよいでしょう。

仕事で必要なスキルや知識は、入社後の研修やOJTで習得することができます。

転職エージェントを利用する

品質管理への転職を検討する際には、専門の転職エージェントを利用することがおすすめです。

品質管理の求人は、数が少ないのに希望者は多いため、転職活動は厳しくなります。転職エージェントは、求人情報の提供や面接対策、履歴書の作成支援など、転職活動全般をサポートしてくれます。

製薬会社以外の企業からの求人も把握しているので、一般企業で働きたいという希望を持っている人は、まず登録しておくとよいでしょう。

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まとめ

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薬剤師が就ける仕事の範囲は意外に狭く、調剤と服薬管理が中心となります。患者さんへの接客が負担だと感じて、一般企業への転職を考えている人もいるかもしれません。

品質管理は、一般企業のなかでも未経験で転職しやすい業種です。また、土日が休みで患者さんへの対応に追われることもないので、安定して働くことができます。

ただ、調剤薬局などに比べると求人数が少ないことには注意が必要です。

自分が品質管理に向いていると感じ、転職を考えている方は、未経験でもチャレンジできるこの仕事を検討してみてはいかがでしょうか。

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薬剤師コラム編集部

「m3.com」薬剤師コラム編集部です。
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