患者が期限切れ処方箋を持ってきたら断れる?断れない?適切な対応を解説

「薬局のアンテナ」のてっちゃんです!
面での処方箋受付が普及する中、頻繁に遭遇するのが期限切れの処方箋です。
処方箋に期限があること自体、患者は知らないことが多く、患者への説明に苦慮されている方も多いのではないでしょうか?
そこで、今回は期限切れ処方箋への適切な対応を解説します。患者にご理解頂くと共に、ルールを守るために必要な対応です。しっかりと押さえておきましょう。
期限切れの処方箋は疑義照会せずに断った方がいいの?
疑義照会の要否は判断が分かれるところですが、実態としては疑義照会せずにお断りされている薬局様が大半かと思われ、個人的にもそうすべきと考えています。
もちろん、その上で可能な限り患者に寄り添った対応が必要である点も強調しておきます。
ここから解説に入ります。
処方箋は交付日を含めて4日以内が有効期限であり、有効期限を過ぎるとその処方箋は受け付け不可となります。せっかく患者に処方箋を持ってきて頂いたにも関わらずお断りする事になるため、丁寧な説明が求められます。
そこで、期限切れ処方箋が受け付け不可である根拠を理解することが大切です。
まず、大前提として、薬剤師法では処方箋の応需義務が規定されています。
薬剤師法 第二十一条
(調剤の求めに応ずる義務)
調剤に従事する薬剤師は、調剤の求めがあつた場合には、正当な理由がなければ、
これを拒んではならない。
ここで指している「正当な理由」としては以下が例示されているのですが、処方箋の期限切れは入っておらず、一見、期限切れ処方箋であっても疑義照会をして使用期限を延長してもらえれば受付可能のようにも見えます。
ア 処方せんの内容に疑義があるが処方医師(又は医療機関)に連絡がつかず、疑義照会できない場合。但し、当該処方せんの患者がその薬局の近隣の患者の場合は処方せんを預かり、後刻処方医師に疑義照会して調剤すること。
イ 冠婚葬祭、急病等で薬剤師が不在の場合。
ウ 患者の病状等から早急に調剤薬を交付する必要があるが、医薬品の調達に時間を要する場合。但し、この場合は即時調剤可能な薬局を責任をもって紹介すること。
エ 災害、事故等により、物理的に調剤が不可能な場合。
引用元:薬局業務運営ガイドラインについて(平成五年四月三〇日) /厚生労働省
ただし、近年の厚生局による個別指導においては、期限切れ処方箋=処方箋ではない=疑義照会せずにお断りする、という対応を求められるケースが多い印象です。
厚生局による個別指導の内容は表に出てこないことも多いのですが、実態としてそのような指導を受けているという情報提供を度々頂きます。
そういった背景もあり現在では、使用期限が切れた処方箋については、使用期限が切れた時点で「処方箋ではなくなっている」という認識で対応することが必要と考えられます。
処方箋ではないので、疑義照会という行為も発生し得ないということですね。
私なりに整理した図をお示ししますので、ご参考になれば幸いです。

期限切れの処方せんは受付不可?の解説図/筆者作成
期限切れの処方箋をお持ちの患者には、患者自ら医療機関に連絡頂き、必要に応じて処方箋の再発行をしてもらう・再受診頂く等、対応をご検討頂ければと存じます。
処方箋の再発行や再受診は保険診療の対象外(つまり自費)となる可能性もありますが、患者に寄り添った対応が求められる部分でもあり、可能な範囲でできる限りのサポートをしていきましょう。
処方箋の有効期限については、私たちが思っている以上に患者の認知度は高くないと考えられます。
実際に、厚生労働省からも処方箋の使用期間の周知依頼に関する通知も発出されていますので、薬局窓口においても可能な限り周知をしていきましょう。
参考:事務連絡 令和5年3月24日 処方箋の使用期間について /厚生労働省
少し話は逸れますが、そもそもなぜ処方箋には「交付日を含めて4日以内」という使用期限があるのかという点も押さえておきましょう。
処方箋は診療時点の患者の状態に基づいて処方するものです。
時間が経つと症状が変化する可能性があり、症状に適した処方ではなくなる可能性があるために使用期限が設けられていると考えられます。
患者から説明を求められた際には、使用期限が設けられている理由も伝えつつ理解を得る努力が必要かと思われます。
処方箋の有効期限欄に記載があれば受け付けても良いのか?
こちらも非常によく頂くご質問です。