在宅オピオイド、病院と何が違う?薬剤師が教える家族指導のコツ
これまでの記事で、オピオイドの基本的な使い方や副作用対策についてお伝えしてきました。今回は、その続きとして、「在宅医療ならではの注意点」に焦点を当てて解説します。
在宅医療に関わるとき、以下のような疑問・不安を感じたことはないでしょうか。
- 病院と同じ考え方でいいの?
- 家族への説明って、どこまで必要?
- 何かあったとき、すぐ対応できないのが不安…
在宅医療では、同じオピオイドでも「使われる環境」が大きく異なります。その違いを理解することが、安心・安全な関わりへの第一歩です。
今回は、在宅医療でオピオイドを使用する際に、薬剤師として意識したいポイントを解説します。
在宅医療とオピオイド:ポイント①家族目線の薬剤設定
在宅では、入院中と異なり、多くの時間を患者とともに過ごすのは家族です。そのため在宅では、以下のような視点がとても重要になります。
- 用量設定がシンプルか
- 家族が理解・判断できるか
よって、以下のような工夫が必要になると考えられます。
- 患者や家族の理解度、生活環境に応じて、フェンタニル貼付剤を72時間毎貼り替え製剤(3日型)から24時間毎貼り替え製剤(1日型)へ変更する
- 1日2回のモルヒネ、オキシコドン製剤から、1日1回のヒドロモルフォン製剤に変更する
- 一包化する
また、レスキュー薬の使用方法について、家族ともしっかり情報共有しておくことが重要です。
「痛みが強くなってからではなく、痛いと感じ始めたら早めに使用する」「すぐに服用できるようレスキュー薬を手元に置いておく」などを、患者だけではなく家族にも指導しましょう1)。
適切な投与間隔や痛みを我慢することによる弊害についても、家族にもしっかりと伝えることが大切です。詳しくは、第5回「がん患者『突出痛』に対するレスキュー薬の選び方。持続時間に応じて選択しよう」を参照ください。
在宅医療とオピオイド:ポイント②不要薬を減らす視点
在宅に限ったことではありませんが、緩和医療においては「不要となる薬」を適切に評価する視点も非常に重要です2)。
緩和医療では、療養の目的が「病気の長期予防」から「今ある症状の緩和」「生活の質の維持」へと変化します。そのため、高脂血症治療薬や骨粗鬆症治療薬、厳格な血糖コントロールを目的とした糖尿病治療薬などは、予後が限られている患者さんにおいては、重要性が低くなる場合があります。
一方で、服薬数が多いこと自体が、誤服用や家族の負担増加につながります。
在宅緩和医療においては、「足す」だけでなく「引く」視点を持つこと。それもまた、薬剤師が果たすべき重要な役割の一つといえるでしょう。
在宅医療とオピオイド:ポイント③「生活の変化」を見逃さない
在宅において、症状変化の重要な指標となるのが、「生活の変化」です。
痛みの強さの評価には、在宅医療においても、Numerical Rating Scale (NRS) やVisual Analogue Scale(VAS)、Face Pain Scale (FPS)の使用は有用ですが、それだけでは不十分な場合もあります。
そのため、以下のような患者の「生活の変化」に気付くことが大切です。
- 「大丈夫」と言いながらも、動きがゆっくりになった
- 食事量が減った
- 夜眠れていない
- トイレにスムーズに行けなくなった
家族にも、「生活の変化」を気にとめてもらうようアドバイスするとよいでしょう。
在宅医療とオピオイド:ポイント④「早めの対応」を心がける
在宅では、対応の遅れがQOL低下に直結する場合があります。
特に注意したいのが便秘です。数日出ていない、お腹が張って食欲が落ちるという状況でも、在宅では「少し様子を見よう」という判断になりがちです。対応の遅れが便秘を長引かせたり、吐き気や嘔吐、横隔膜の移動制限による呼吸困難を引き起こしたりする場合もあります。
さらに悪化すると、腸閉塞を引き起こす可能性もあるため、注意が必要です3)。