98%の薬剤師が漢方の取り扱い経験あり
調剤室で生まれた「ベン」「ゼン」「カン」の三兄弟。薬剤師がイキイキと働けるようにお手伝いをしたい!と奮闘するベンゼン三兄弟が、薬剤師に聞いた実態調査をレポートします。
m3.com会員の薬剤師へ漢方に関するアンケートを実施しました。そのなかで、98%の薬剤師が、業務のなかで漢方の取り扱い経験があると回答。漢方に関する情報の取得の仕方については、インターネットと書籍がともに36%と最も高く、単発での講座やセミナーが21%と続きました。漢方薬・生薬認定薬剤師の資格取得の割合に関しては「取得していない」が87%、「取得している」との回答はわずか5%にとどまりました。
Q. 漢方の取り扱い経験はありますか?
ベン:
ほとんどの薬剤師が業務で漢方を取り扱った経験があるんだね。
Q. 漢方に関する情報はどのように取得しますか?
ゼン:
インターネットと書籍での情報収集が多いね。定期的な講座やセミナーに通っている薬剤師は7%しかいないんだ。
Q. 漢方薬・生薬認定薬剤師の資格をもっていますか
カン:
「取得している」「取得を予定している」を併せても10%程度なのね。漢方への関心はあるけれど、認定薬剤師の資格を取る人は少数ということね。
Q. 漢方に関する業務で失敗したエピソードを教えてください
患者さんへの説明ができなかった。知識が不足していた
- メーカーにより同一名称でも配合された生薬が違うことを知らずにいて患者に説明していた。
- 葛根湯が小児用量(半分)になっているのに間違えて1回1包で渡した時、後に過量服用した時の危険性、安全性を説明できなかった。
- 漢方が好きな患者さんの中には勉強熱心な方が多く、知識が足りずにうまく答えられないことがありました。
- 包装の色が似ているので(葛根湯と補中益気湯、小青竜湯と麦門冬湯など)何度かインシデントを経験した。
- 漢方薬の匂いや味が苦手で抵抗がある方に、有効と思われる漢方処方をどのように紹介したらよいか知識が足りなかった。問診だけでは、証の見極めが不確実だったこと。
- 甘草が多くの漢方薬に含有しているため、数種類の漢方が処方されていた場合、1日量が10gを超えていたことがあった。
医師の処方意図がわからない
- どのような治療で処方されているか医師の処方意図が理解できないケースがある。
調剤ミスを起こしてしまった
- 製品に分2と分3の規格があるのを知らず、調剤ミスをおこした。ただし、監査者が気づいたので実害はなかった。
- 下一桁の数字が同じものは色が同じ(例えば1番と41番)という規格の製品の場合、納入時に間違えて保管してもすぐに分かりにくく、間違えて調剤したことがある。
- 異なるメーカーの場合、番号だけで調剤するとミスにつながる。
薬の保存への配慮に欠けていた
- 小児にエキス顆粒が14日分処方され、分包しましたが、何日かして薬の色が濃くなってきたと電話がありました。湿気への配慮が足りなかったと思います。
- 漢方を分包機で分包したものが、すぐに変色した経験がある。保存が難しい。
ベン:
患者さんに薬効をうまく説明できなかったという回答が多いね。
ゼン:
漢方薬って呪文みたいに難しい漢字の薬名ばかりだし、効用もたくさんあるからとっつきにくさがあるぜ。
m3.comでは漢方に関するコラムを企画中です。漢方に関する疑問や質問(こんなことを知りたい)などがあれば自由にご記入ください
漢方の効果・効能・副作用について知りたい
- 生薬の中には漢方薬と同じような効能効果があるものがいろいろありますが、その差について教えて下さい。
- わかりやすく用途、副作用などをまとめたものがほしいです。
- 医師が処方される場合の各処方に求める効果をどう考えているのか知りたい。
- 未病に対するアプローチとして漢方薬への期待が高いと思います。日常的に漢方を取り入れる際に注意したいこと、基礎疾患に対する注意や長期の連用に対する注意、副作用の徴候などまとめていただければ助かります。
服薬指導の注意点や処方の解説について
- 漢方薬の処方解説。水滞とか気鬱などにどういう生薬を使うのか、図解等で分かりやすく知りたい。
- 今更ですが、漢方製剤が複数処方されている場合の疑義照会の必要性や注意点、服薬指導においての具体的な注意や指導が知りたいです。
- 患者さんの問診から漢方を選定するフローチャートなど。
- 漢方薬を何種類も服用してもいいのか。いつも疑問を抱きつつ調剤しています。
エビデンスを知りたい
- 適用外の処方で劇的に寛解したエビデンスがあれば知りたい。
- 漢方は効果がわかりにくく、時間がかかるイメージがあります。効果を判定する指標や効果が出るまでの時間(人によるではなく、中央値などのデータ)に関するデータ・エビデンスを知りたい。
メーカーの成分の違いや容量、原料を知りたい
- メーカーの成分違いのこだわりを知りたい。原料はどこから仕入れているのかも知りたい。
- 各社の同一薬剤での容量成分の違いについて。
資格取得、実践指導のコラム
- できれば、単位がとれる授業と同時に同じ生薬の分類で現実的な実践指導のコラムがあれば嬉しい。
- 漢方・生薬全般の知識、覚え方。漢方認定薬剤師への近道。
「証」について詳しく学びたい
- 病名、適用除外基準などを現代的な医学用語で明確化し、個別化していくような現代的なアプローチで漢方のエビデンスを取っていこうとするグループがある一方で、「証」を診る古典的な漢方を実践するグループもあり学びにくい。
- 症状が変わっていく時の選び方や証の見極め方の体験談をたくさん載せて欲しい。
上手な漢方の飲み方を知りたい
- 漢方を上手に飲む方法。「飲みにくい」とよく言われる。味をごまかす方法とかを知りたいです。効能・効果が幅広すぎてよくわからない。外科で、よく使う漢方や泌尿科でよく使う漢方とかわかるといいなと思う。
- 子供に飲ませる工夫。何に混ぜたら効果が落ちず、飲みやすくなるかが知りたい。
その他
- 難しい漢字の「読み」と「意味」。
- 古代の中国ではどのような処方が人気だったかなどのコラムが読んでみたい。
- 生薬とそれに対するハーブの名前は高い書籍にはまとめられていますが、高くて手が出ません。ご紹介いただけたら嬉しいです。生薬の植物学的な紹介があれば、ハーブティ片手にコラムとして楽しく読めそうです。
ベン:
漢方について網羅的に効用や副作用などをわかりやすく知りたいという意見が多かった印象だね。
ゼン:
薬剤師らしい薬の効用のエビデンスを求める声も多かった。あと、図解を求める要望もあったね。漢方は薬名だけでも難解だし、読みやすくてためになるコラムがあれば薬剤師のちからになれるってことだぜ。
カン:
そうね。皆さんの声を参考にいい記事を作っていきましょう!今後のm3.comの漢方コラムに是非ご期待下さい。
ベンゼン三兄弟
ベン・ゼン・カンの三兄弟。調剤室で生まれ、日々がんばる薬剤師を見て育ってきた。薬剤師に元気を届けながら、自分たちもいつか薬剤師になる日を夢見ている。薬剤師がイキイキと働けるようにお手伝いをしたい!と奮闘中♪
《 ベン 》
正義感の強い三兄弟のリーダー。勉強熱心でいろいろなことに興味津々。
熱中するとまわりが見えなくなりがち。
《 ゼン 》
明るくてポジティブな三兄弟のムードメーカー。
調子にのりやすく失敗もするが、立ち直りも早い。
《 カン 》
優しくて気配りのできる三兄弟の癒やし系。控えめだけど実はしっかり者。
なぜかゼンへのツッコミは厳しい。
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