【2026改定版】特定薬剤管理指導加算2の算定要件をわかりやすく解説
特定薬剤管理指導加算2は、抗悪性腫瘍剤を注射した患者さんに対する薬局での取り組みを評価する目的で、2020年の診療報酬改定で新設されました。
薬剤師の業務が対物から対人へとシフトする中で、専門的な領域で薬剤師が役割を果たしていくことが求められています。
本記事では、特定薬剤管理指導加算2の算定要件や各種点数との併算定の可否、薬局薬剤師がどのように外来がん化学療法に関わっていくべきなのかについて解説をしてきます。
特定薬剤管理指導加算2とは
特定薬剤管理指導加算2は、抗悪性腫瘍剤を注射した患者さんに対して、薬局の薬剤師が内服の抗悪性腫瘍剤等の服薬管理やサポート、体調管理を行うことを評価したものです。
薬局薬剤師もレジメンを把握した上で治療をサポートしていくことで、外来がん化学療法の質を向上していくことが期待されています。
特定薬剤管理指導加算2の点数と算定要件
特定薬剤管理指導加算2は、抗悪性腫瘍剤等を調剤する保険薬局の保険薬剤師が対象の患者に対し、以下の内容を全て実施した場合に1回100点を算定します。
- 患者のレジメン等を確認し、必要な薬学的管理及び指導を行う
- 患者が注射又は投薬されている抗悪性腫瘍剤及び制吐剤等の支持療法に係る薬剤に関し、電話等により服用状況、患者の服薬中の体調の変化(副作用が疑われる症状など)の有無等について患者又はその家族等に確認する。
- 上記の確認結果を踏まえ、当該保険医療機関に必要な情報を文書により提供する。
なお、「抗悪性腫瘍剤等を調剤する保険薬局」とは、患者にレジメン等を交付した保険医療機関の処方箋に基づき、抗悪性腫瘍剤または制吐剤等の支持療法に係る薬剤を調剤する保険薬局のことです。
参照:別表第三 調剤報酬点数表 /厚生労働省
参照:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省
算定対象患者
算定対象となるのは以下2点の条件をどちらも満たした患者です。
- 抗悪性腫瘍剤を「注射」された悪性腫瘍の患者
- 連携充実加算を届出している医療機関から抗悪性腫瘍剤や支持療法(制吐剤など)の処方を受けている患者
参照:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省
算定上限回数と算定タイミング
定められている算定の回数とタイミングは以下の通りです。
算定上限回数:月1回
算定タイミング:医療機関への情報提供後に当該患者の処方箋を受け付けた時
※患者一人につき、同一月に医療機関への情報提供を複数回行った場合でも、算定は月に1回までです。
※算定タイミングで持参した処方箋の医療機関に指定はありません。情報提供を行った医療機関ではない場合でも特定薬剤管理指導加算2を算定することが可能です。
参照:疑義解釈資料の送付について(その1)令和2年3月31日 |厚生労働省
特定薬剤管理指導加算2算定のために実施すること
本加算の算定要件を満たすために、薬剤師は薬局にて以下の3点を実施する必要があります。
1)レジメンを把握した上での薬学的管理・指導
患者が受けている化学療法のレジメンを確認しましょう。
レジメンとは、薬剤の用量や用法、治療期間を明記した治療計画のことです。
連携充実加算を届け出ている医療機関は、化学療法のレジメンをホームページなどで公開しています。
患者さんが薬局にレジメンを持参していない場合でも、ホームページで確認することが可能です。
2)電話等による服用状況・副作用の確認
抗悪性腫瘍剤や制吐剤等を投薬後、患者や家族に対して服用状況や副作用の確認を行うことが必須です。
この際、電話もしくはテレビ電話を利用してリアルタイムの音声通話によって行うよう定められています。
メールやチャットなどを補助的に活用すること自体は問題ありませんが、それらのみでの確認による算定は認められていません。
また、電話等による服薬状況等の確認や、その後の医療機関への文書による情報提供は、患者や家族等の同意を得たうえで実施するようにしましょう。
参照:疑義解釈資料の送付について(その1)令和2年3月31日 |厚生労働省
3)医療機関への文書による情報提供
電話等で得た服用状況・副作用に関する情報を、患者の同意を得た上で医師へ文書による情報提供を行う必要があります。
病院では処方後の患者の服用状況や体調変化については知る機会が少ないため、薬剤師による治療中の経過報告は、安全に化学療法を進める上で有益な情報となります。
参考:疑義解釈資料の送付について(その1)令和2年3月31日 |厚生労働省
医療機関への報告書の書き方特定薬剤管理指導加算2を算定する上での報告書の様式に決まりはありませんが、施設によっては独自のフォーマットを用意しているところもあります。あらかじめ医療機関のホームページなどからフォーマットの有無を確認するとよいでしょう。
報告書には、主に以下のような情報を記載します。
- 患者氏名、医療機関での患者ID
- 薬局の名称、所在地、電話番号、FAX番号
- 薬剤師名
- 処方内容
- 服用状況
- 副作用状況
- 薬学的管理に基づく医師への提案
- その他
また、文書による報告以外にも、患者の緊急時に対応できるよう、あらかじめ医療機関との間で緊急時の対応方法や連絡先等について共有することが望ましいとされています。
重大な副作用の発現のおそれがある場合には、患者に対して速やかに保険医療機関に連絡するよう指導したり、受診勧奨をおこなったりしたりと、適切に対応しましょう。
特定薬剤管理指導加算2の施設基準
特定薬剤管理指導加算2を算定するにあたり定められている施設基準は以下の通りです。
-
保険薬剤師としての勤務経験を5年以上有する薬剤師が勤務していること
※薬剤師の勤務経験については、医療機関の薬剤師として勤務経験が1年以上ある場合、1年を上限として勤務経験に含めることができる - 会話のやりとりが他の患者に聞こえないようパーテーションで区切られた独立したカウンターを有するなど、プライバシーに配慮していること
-
麻薬小売業者の免許を取得し、必要な指導を行うことができる体制が整備されていること
医療機関が実施する抗悪性腫瘍剤の化学療法に係る研修会に、薬局に勤務する薬剤師の少なくとも1名が年1回以上参加していること
施設基準に係る届出の必要あり
特定薬剤管理指導加算2を算定するためには、施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届出を行う必要があります。
なお、届出は別添2の様式92を用いて行います。
特定薬剤管理指導加算2を実際に算定する流れについてはこちらの記事をご確認ください。
特定薬剤管理指導加算1・3との違い
特定薬剤管理指導加算は2以外に1と3もあります。
リスクが高い薬や丁寧な説明が必要な薬を処方されている患者に対しての薬学的管理の評価という点では特定薬剤管理指導加算2と共通していると言えますが、それぞれ算定要件が異なりますので、以下で違いを見ていきましょう。
特定薬剤管理指導加算1とは
特定薬剤管理指導加算1はいわゆるハイリスク薬と呼ばれる薬を対象とした加算です。
抗悪性腫瘍剤や免疫抑制剤、不整脈用剤、抗てんかん剤など厚生労働省が定める「特に安全管理が必要な医薬品」について、薬剤の管理や指導などを行った場合に算定できます。
| 対象患者 | ハイリスク薬が処方された患者 |
| 対象薬剤 | ハイリスク薬 |
| 点数 | 新たに処方 10点 指導の必要 5点 |
| 算定頻度 | 処方箋受付ごとに1回 |
| 医師への情報提供 | なし |
| 患者の同意 | なし |
| 特定薬剤管理指導加算2の併算定 | 条件を満たせば可能 |
参照:別表第三 調剤報酬点数表 /厚生労働省
参照:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省
参照:疑義解釈資料の送付について(その1)令和2年3月31日|厚生労働省
関連記事
【1分で読める】特定薬剤管理指導加算1・わかりやすい調剤報酬辞典
特定薬剤管理指導加算1の「イ新たに処方された患者」とは?算定要件解説
特定薬剤管理指導加算1「イ」「ロ」の算定要件は?質問にわかりやすく回答
特定薬剤管理指導加算3とは
特定薬剤管理指導加算3は、処方された医薬品について、薬剤師が患者に重点的な服薬指導が必要と認め、必要な説明及び指導を行った場合に算定が可能です。
2026年度の調剤報酬改定では、「バイオ後続品の選択に係る患者への説明」についても特定薬剤管理指導加算3-ロで評価されるようになりました。
| 対象患者 | イ 処方内容に対してRMPを用いた指導を受けた患者 新たに発出されたイエローレターやブルーレターに関して 指導を受けた患者 ロ 長期収載品の選定療養の説明を受けた患者 供給不安定な医薬品の別銘柄への変更に関する説明を 受けた患者 バイオ後続品の選択に係る説明を受けた患者【2026追加】 |
| 対象薬剤 | イ 患者向けRMPがある薬剤 ロ 長期収載品の選定療養の対象となる薬剤 供給不安定なため別銘柄への変更が必要な薬剤 バイオ医薬品(一般名処方)またはバイオ後続品 (銘柄名処方)【2026追加】 |
| 点数 | イ:5点 ロ:10点 |
| 算定頻度 | 当該医薬品に関して最初に処方された1回 |
| 医師への情報提供 | なし |
| 患者の同意 | なし |
| 特定薬剤管理指導 加算2との併算定 |
条件を満たせば可能 |
参照:別表第三 調剤報酬点数表 /厚生労働省
参照:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省
関連記事
【1分で読める】特定薬剤管理指導加算3・調剤報酬辞典
特定薬剤管理指導加算3「イ(RMP)」「ロ(選定療養)」算定Q&A
特定薬剤管理指導加算3 Q&A・薬品A未入荷で別成分の薬品Bに変更は算定可?
特定薬剤管理指導加算3よくある質問4つ「RMP資材の探し方」など
「特定薬剤管理指導加算3」の算定に必須!「RMP資材」①~目的と意義
「RMP資材」②~入手法と「特定薬剤管理指導加算3」に算定するための活用法
特定薬剤管理指導加算2が算定できないケース
特定薬剤管理指導加算2が算定できない場合がありますので詳しく説明していきます。
各種点数との併算定が不可の場合
特定薬剤管理指導加算2を算定する際に行う医療機関への文書による情報提供については、服薬情報等提供料は算定できません。
ただし、抗悪性腫瘍剤等の服薬状況等に関する確認を行う際に、他の医療機関や診療科で処方された薬剤に係る情報を得る場合もあるでしょう。
その際は患者の同意を得たうえで、必要に応じて他の医療機関等に情報提供を行うことで、所定の要件を満たせば服薬情報等提供料を算定することは可能です。
また、以下のケースにおいても特定薬剤管理指導加算2は算定できません。
- 特別調剤基本料Aを算定している保険薬局(不動産取引等その他特別な関係を有している保険医療機関へ情報提供を行った場合)
- 服薬管理指導料4のロ又はハを算定する患者
参照:調剤報酬点数表に関する事項 /厚生労働省
他薬局にて調剤の抗悪性腫瘍薬の相談を受けた場合
特定薬剤管理指導加算2は、抗悪性腫瘍剤などの「調剤を行った」薬局が算定することとされているため、他の薬局で調剤を行っている抗悪性腫瘍薬に関する相談を受け、医療機関に情報提供を行ったとしても算定はできません。
参照:疑義解釈資料の送付について(その1)令和2年3月31日 |厚生労働省
服用薬剤調整支援料2の算定処方例
ここからは、特定薬剤管理指導加算2の算定が可能な処方例をみていきましょう。
薬局では、外来化学療法を受けている患者のさまざまな処方箋を調剤する機会があります。
どのような処方内容であれば、特定薬剤管理指導加算2が算定可能なのか、あらかじめきちんと理解をしておくことが大切です。
処方例
Rp1) ゼローダ錠300mg 6錠 分2朝夕食後30分以内 14日間
Rp2) デカドロン錠 4mg 2錠 分2朝昼食後 2日間
【ポイント】
この処方例をもとに、特定薬剤管理指導加算2を算定するためのポイントを振り返りましょう。
